【カオスな世界】コンビニバイトのモーニングルーティーン【意外と知らない】
多くの人が学生時代、何かしらのアルバイトをしていたのではないだろうか。
朝活ナースも学生時代、いくつかのアルバイトを経験した。今回は、私のアルバイト初体験を奪った、コンビニバイトの話をしようと思う。
きっかけはいつだって偶然で
周りのみんながバイトをはじめる中、自分もバイトをしてみようと思った。求人誌の中で、最寄り駅のコンビニの早朝スタッフ募集の文字を見つけ、面接を申し込んだ。オーナー(太った中年のおじさん、のちに私に告白してきた)による面接が行われた。その場で採用を伝えられ、次の週から働くことになった。一通りオリエンテーションを受け、実際にレジに立った。
その中でも強く覚えているのが、「いらっしゃいませ」を言うことがとても恥ずかしかったことである。普段自分が買い物に行き、店員さんが当たり前のように「いらっしゃいませ~」と言っていたが、それを言うのがこんなに難しいことだとは思わなかった。この挨拶は大きな声を出して当たり前。小さな声を出すつ態度が悪い店員と思われることが多々ある。初日から目を付けられては大変だ。。。などと思っていたが、1週間もしないうちに慣れ「いらっしゃいませ!」と朝のコンビニにふさわしい、さわやかな挨拶ができるようになった。
なお、挨拶のことばかりを考えていたら初日に大ポカをしたのはまた別の話である。。。
意外と多忙を極めるバイト生活
コンビニ店員になって感じたことは「思ったより忙しい」である。まず出勤し、朝礼を行う。
今日も一日、私たちは自信と情熱をもって、お客様には最大の満足を!お店に、商品に対しては、深い愛情を注ぎ、奉仕の精神を忘れることなく、自らの希望達成のために努めます!
バイトをやめ、かなりの年数がたっているが未だにスラスラと言えてしまう。宗教のようにこの言葉をオーナーとともに唱和し、仕事が始まる。まずはコンビニ周りの掃除だ。
駅のすぐそばのコンビニ。朝6時。
想像していただいたらおわかりだろうか。コンビニで買って店頭で飲みそのまま捨てられた酒の空き缶、たばこの吸い殻、カップラーメンの容器、、、。一人暮らしのずぼらな男性の部屋がそっくりそのまま来たかのようだ。もうすぐ出勤前の人たちがコンビニに押し寄せる。
仕事の前に汚いコンビニには入りたくないだろうし、今から汗を流し、働く方々の一日の始まりに嫌な思いはさせたくない。そんな思いで1つ1つ拾い、捨てる。掃除を終えると、おでん・中華まんの仕込みを行う。(秋~冬季のみ)おでんは古いスープを全部捨て、新しいスープを作る。おでんの鍋はかなり重く、これも重労働だった。
また、朝6時頃の客は濃い。
・一晩飲み明かしたであろう、テンションの向こう側へ行っている若者グループ
・朝からワンカップ大関を買う、手の震えたアル中じいさん
・ストッキングを購入し、そのままトイレにこもり、トイレのごみ箱にビリビリに破いたストッキングを捨てていく明らかにあぶないおじさん
それぞれの人生に密着したら取れ高がすごいであろう特濃キャラクター大集合である。
7時頃からは徐々に出勤前の人が増える。
常連客も多く、たいがいいつも同じものを買う。今思えば、私もこの人達のモーニングルーティーンの一部になっていたのだろうか。駅近のコンビニだと、電車の時間もあり、急いでいる人が多い。その雰囲気を察知し、高速でレジを打ち、袋に詰める。この時間に空気も読まず宅急便を持ってきて、大行列を作る人もいた。後ろに並ぶ客からの視線がとても痛いのでこれは本当にやめてほしかった。出勤ラッシュが終わるまでは客が途切れる時間がほとんどなく、商品の補充もままならない。
8時半ごろからようやく客が減り、期限間近の商品の引き下げや店頭から減っている商品を倉庫から補充する。(ご存じの方も多いと思うが、飲料コーナーの後ろは巨大冷蔵庫になっており、飲料やデザートなどがたくさん保管されている。そこでの作業は本当に寒く、長時間は入っていられない)
そして9時に仕事を終え、次のシフトの人に交代し、仕事を上がる。
学生の頃はそんな日々を過ごしていた。たかがコンビニ、されどコンビニ。役割は年々大きくなり、まさに世間のインフラとなっている。忙しいけれどやりがいと社会的意義が見やすい仕事であろう。そしれ同じ店なのに時間帯によってさまざまな表情をみせるのも興味深い。商品にあふれた小さな箱は、当時の私にとって、とても不思議な空間だった。
コンビニバイトから学んだ人生の教訓
人との接触回数という点で、コンビニバイトほど多いアルバイトもないだろう。このような仕事だからこそ今に活きる学びも多い。今回はその中でも、特に私が重要だと思うことを紹介したいと思う。
①世の中には色んな人がいて、それぞれに役割があるということ
朝からワンカップを買うおじさんだって立派なお客様だ。彼らが商品を購入することで利益が生まれ、私の雇用が確保されている。そして彼らにとってもコンビニは重要な存在である。世の中に不必要なものは淘汰されるのが世の常だ。裏を返すと、この世に今存在しているもの全ては世の中に必要だし、役割を発揮しているのだ。これは看護師の仕事でも強く感じている。患者さんで「私なんかいなくても...」と言われる方がたまにいる。そんな時、私は必ずコンビニバイトを思い出し、患者さんとコミュニケーションを取るのである。
(看護師のお話についてはこちらを参照ください)
②相手を理解するには相手の立場に立つこと
コンビニの仕事をしたことがない人は例えば宅急便の対応でレジが並んでいたりすると「遅いな早くしろよ」と思うだろう。
実は宅急便の対応は、重さを測ったり宛先を入力したり等、しなければいけないことが多い作業だ。それを知っているかどうかで、並ぶ時の心の持ちようが全く異なるだろう。私は、相手の立場に立って物事を考えられない人が実は非常に多いのではないかと感じている。相手の立場に立つには人生の経験値を増やすか、読書等を増やしシミュレーションの能力を向上させることが必要だ。今後もインプットを増やすことを大切にしていきたい。
あらゆる経験が今の血肉となっているはずである。今後も学び続ける大人でありたい。
おしまい。